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猫と赤ちゃん、ときどきオット (8)うちのバァバ

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「こんにちは、おふたりさん」

「また来るね、おふたりさん」

 

バァバは我が家に来ると、猫たちにこうやって声をかけてくれる。

息子を妊娠した時、とても不安だったのが、産後のこと。

私はすでに両親を無くしているので、よくある実家への里帰りという選択肢がなかった。

そんな私の産後を、心身ともに支えてくれたのが、「バァバ」こと、オットの母だった。

 

息子が産まれて最初のひと月は、我が家に泊まり込んで家事全般を引き受けてくれた。

ふた月めもせっせと通ってお世話をしてくれた。

「孫に会えるから」と喜んでくれてはいたけれど、実際のところはかなり大変だったと思う。

 

そして、私と息子だけでなく、猫たちの面倒まで見てくれたことは、今でも心から感謝している。

出産後、私がいちばん悩んだのは、猫と触れ合う時間がほとんどないことだった。

この悩みは、私自身にとってはとても深刻な問題だったけれど、人によっては「たかが猫」。

猫ごときに構えないとか、そんなんで悩んでいるなんてバカじゃないの、と思う人もいるかもしれない。

 

でも、うちのバァバはそうではなかった。

子供が泣いてオムツ替え、子供が泣いて授乳、授乳が終わったら寝かしつけ、合間にほんの少しの睡眠、の繰り返しで、ほぼ休憩時間がない私の足元で、ずっと猫が鳴いていた時のこと。

 

「ごめんね、待っててね・・・」

 

そんな時、バァバは言った

「大丈夫よ、私が撫でておくから」

ゴロゴロと甘える猫の脇に座り、ずっと撫でていてくれた。

ありがとうを繰り返す私に

「遊びに来てるみたいでなんだか悪いわね」

と、バァバは笑ったけれど

 

私にとって、それがどれだけ有難く、どれだけ嬉しいことだったか。

思い出すだけでも、鼻の奥がツンとなる。

 

そんなバァバに、ラファとチョコは当たり前のように懐いた。

懐きすぎて、寝室に毎夜のように夜這いをかけていた。

 

\バァバ、いるかな/

 

\あ、いたいた/

 

\さ、入ろう/

 

\バァバ、撫でて!/

 

\バァバ、好き/

 

うちに泊まり込んでくれていたあの頃

バァバは毎朝、私にこう聞いてくれた。

 

「今日のお昼、何が食べたい?」

 

20年前に母を亡くした私にとって、この質問はとてもとても嬉しかった。

 

バァバと過ごした日々のことは、きっと一生、忘れない。

 

 

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